「島のお母さんたちとの座談会」〈後編〉
2019-04-04
前編では「移住や島での子育て・暮らし・環境について」と「医療問題」についてお話いただきましたが、後編では「教育環境や学校の施設」や今後の子育てについてです!
≪教育環境・学校の施設について≫
これも移住を考えた時に決めてとなる、子供たちの生活環境。直島ならではの教育や学校についてお話いただきました!
サヤカさん:小学校の入学説明会に行って知ったのは、幼児学園・小学校・中学校と連携をとった一貫教育をするということ。小学生がきたり、中学生が遊びにきたり、お世話してくれる日があったり、すごくいいなって。子供が少ないから、幼児学園だけよりは学年関係なくみんな知り合える教育環境はいいですね。
ジュンコさん:異年齢との交流があるのがすごく勉強になっているんだなと思った。都会だと同学年としか遊ぶ機会がないけど、直島みたいな田舎だと異年齢と遊べるし、学びが多いんかな。
本橋:それは素敵ですね!
サヤカさん:上下関係が全くないと中学生のお母さんから聞きました。だから、高校入って大丈夫かなと。(笑) 先輩後輩の壁がなさ過ぎて・・・
※直島は高等学校がないため、岡山か高松の高校へ通うことになるのです。
レイさん:社会へ出た時大丈夫かな。(笑)
ジュンコさん:カルチャーショックですよね。でも、それだけ仲がいいってことですよね!
サヤカさん:私の時は、仲いいけどそれなりに上下関係あったかもしれないです。
当時は2クラスあって、一学年全員で45人から50人くらいでした。
ジュンコさん:クラス替えもあるといいよね。刺激もあるし。(笑)
レイさん:マンネリ化するというか、同じ20人の中で十何年も一緒って。
ジュンコさん:自分がそういう感覚を味わっていないから、どうなんやろう!?でも、それが当たり前やからね。直島の子たちはそれしか知らんから、それが普通だと思ってる。価値観の違いがすごいと思う。
山岸さん:それぞれの子のキャラクターやポジションがある程度決まったまま10年ほど過ごすことになるので、高校に入ってそれがゼロになることの対応力ってどうやって培ってあげたらいいのかなと考えることはあります。
サヤカさん:私の学年は割と穏やかだったように思います。穏やかな中にも何かしらあるもので、1組と2組のどちらかが荒れていても、クラス替えをすることで、良くなったりしたように思います。
一同:今は減るばかり・・・
ノリコさん:うちは「いつ引っ越すん?」って言われた。(笑) 見送るのに心が折れそうになる。
ジュンコさん:ノリコさん、何回見送ったんやろう?(笑) 数えきれんくらい?
ナツコさん:小豆島とか他の島も少子化だと思うんですけど、そういうところの交流とかあるんかな?小学校の子たち同士の、島でなくても、直島で知らない外の子たちと触れ合う機会ってサッカーとかあるんかな?
ノリコさん:サッカーは大会に出たりしてますね。
山岸さん:夏の*¹海ほたる(なおしま自然探検隊)のイベントとか。
本橋:島同士の繋がりがあったら面白いですよね。
ジュンコさん:そこは親のスタンスというか。どこまで親が子供にいろいろ経験させるか。
ナツコさん:外出したり、外の習い事とかね。
ジュンコさん:引きこもっとったら、そこから世界は広くならないから、積極的に動ける人がいいんじゃないかな。イベントとかいっぱいあるし、友達ができる機会はあると思うから、そういう機会は作ったほうがいい。
本橋:人見知りじゃなかったら、すぐに友達作れそうですもんね!
ジュンコさん:観光客も来るし、友達になったり、いっぱいチャンスがあるから。
うちはお店をしているから、土日祝は積極的にお店にいったり、お子様連れの観光客の人がいたら子供たちと遊ばせたり、連絡先交換したり。直島は観光地でもあるから、観光客や外国人の方と仲良くなるチャンスもいっぱいあって、物応じしない子になれる場所。
本橋:そこは直島にとって強みですね!
ジュンコさん:でも、そこは親が頑張らんと。(笑) オープンに、行ける時は行く!みたいな感じで。しんどい時は無理しないみたいな。(笑)
*¹なおしま自然探検隊・・毎年8月の終わりに開催される、直島と島外の小学生以上の親子を対象とする、町のイベント。海辺で磯遊びや海ほたるの捕獲などをします。
では、最後になりますが、今後の子育てで気を付けたい事や、こうしておけばよかった!など、これから移住を考えている方へアドバイスをお願いします!
ジュンコさん:直島だからできる子育てや子供の暮らしというのは都会のようにいろんな情報があふれていないし、瀬戸内の美しい風景と昔の日本人の暮らしと景観が守られている中で世界に通用する一流のアートがあって、という環境はなかなかないような気がして。いろんな要素がつまって、子供時代にそのような環境に身を置くことで情緒が豊かな人間に育つ気がしています。自然や海が近いとこにあるから自然と共存することで学びが大きいなと思うんです。
あと、外国人や観光客と触れ合う機会が多いので、自然といろんな価値観を受け入れる準備ができている。移住者にも様々な人がいて、田舎だけど多様な人がいて、多様性を受け入れる準備を子供時代にできるから、その先になにかあっても子供時代に身を置いた環境がこうだったからって覚えててくれるんじゃないかなと。ただの田舎じゃないぞ!みたいな感じ。
本橋:大人になっても誇りを持って言える環境っていいですね!
レイさん:それは私も同感で、田舎だけどいろんな人が住んでもいるし、訪れる多様性っていうのは直島みたいな場所は他にないと思っていて。豊かな自然があって穏やかな暮らしができるけど、文化として遅れているわけでもなくて。今は世界中から人がくるし、本人たちの頑張り次第であると思うけど、親と子供が頑張ればいい経験ができる場所。
多様性というところでは、直島地元の人もいるけど、ここに集まっているみなさんも多様なバックグラウンドがあるから、それが島の縮図だと思う。
海外からの旅行者や地元の方、移住者いろんな人がいる環境で幼少期を過ごすっていうことは、いろんな人が世界にはいるんだっていうのを自然と感覚として身に着けられる場所なんじゃないかなと思います。それをどう生かすかはその人達次第ではありますけど。
ジュンコさん:でもその準備が出来てるというか、知らず知らずのうちに身についてるっていうのがあるんかな。
レイさん:金髪で青い目の人を見ることや違う言語が耳に入ってくることに抵抗感がなかったりというのは、直島での暮らしや長い時間をここで過ごすっていう意味で良いところ。
ジュンコさん:教育のことですけど、塾もないし、都会の子に比べて学力とかどうなんかなと思うんですけど、そこは計画性や覚悟を持ってこないと難しい。学歴社会で同じ競争相手として、都会の子と同じ競争には勝てないなと思うから、直島に住む特有の個性を生かせれるような人間に育てれるような感じ。やっぱり都会の子には太刀打ちできないから。個性豊かにどう育てるか。
本橋:その子本人の持った個性をどう伸ばしてあげれるか。
ジュンコさん:競争社会からある意味ドロップアウトしてるんで、そこは目指してないんですよ。(笑) 語学は必要やなと思うし、海外に出てほしいなという気持ちはあるんです。世界を知ってほしいし、経験値をあげてほしい。何事も経験しないと頭で考えてもわからんし。だから今はその準備段階ですね。とにかく自分で生きていく力、サバイバル能力を身に着ける方向で子育てしようと思ってます。うちはこの話ばっかりなんです。(笑)
本橋:ジュンコさんの家の教育論が気になりますね!(笑)
ジュンコさん:やっぱり食べていかないと。(笑) うちは特に上の子が男の子だから心配なんで色々考えてます。直島はほんまに好きで。いいとこきたなっていっつも思う。
サヤカさん:私は地元だけど、みんなめっちゃ褒めてくれるからすごいなって。(笑)
地元の人もみんな思っとんじゃないかな。地元愛もあるっちゃあるけど、移住してきた人の方が・・・
レイさん:直島のことはきっと好きですよね!
サヤカさん:移住してまで直島にくるエネルギーがすごい。
ジュンコさん:逆にそれで魅力を知れるよね。そんな魅力があったんやって。
ここで生まれ育ってると当たり前やから。
サヤカさん:島の美しさとか、いつもあったから。でも、あらためてみたら、あーってなる。
アートも全然興味なかったし、私の時代は直島は全然有名じゃなくて、「直島」って言ったら、えっ?どこ?みたいな。
ジュンコさん:移住者の人には特別視せえへんとこあるよね。移住してきたんやみたいな。みんな慣れとる。
サヤカさん:転勤族の方がいるから慣れてるんだと思う。
レイさん:昔から比較的受け入れてる感じはする。抵抗もなく、いろんな人を受け入れている感じはしますね。
サヤカさん:昔、マテリアル辺りが盛んだったときは8000人くらい暮らしていたと聞きました。私の父方の祖父は戦後、大阪から、母方の祖父母は高松から来たから、元をたどれば違う人も、きっと結構いますよね。父方の祖母は生粋の直島人です。直島は昔からいろんな人が入ってきたりしているから、割と移住者が暮らしやすい環境なんでしょうか。
本橋:私も移住して、最初は地域の方たちの反応もどんなかなと思いましたが、すんなり受け入れてくれて、すごく自然に生活出来てることに今更ながらびっくりです!
直島は移住者にとっても生活しやすいところなので、直島にもっと移住者が増えてくれれば嬉しいですね!ご参加いただきましたお母さん方、どうもありがとうございました!!
~座談会を終えて~
直島での子育ての楽しさはもちろん、難しさも含めて、やりこなしていくお母さんたちはとても偉大だなと思いました。また、何でも手に入ってしまう都会での生活と自分で行動しないと始まらない田舎での生活の違いも大きく、他にはない直島だから出来る子育てや生活環境の魅力が改めてわかり、そんな中でのびのびと育つ子供たちが羨ましいです。また、今回ご参加いただいたお母さんたちの人柄も素敵で、それも地域の魅力に繋がっているんだなと思いました!今回の座談会が、移住をお考えの方の参考になれたら嬉しいです!
「島のお母さんたちとの座談会」前編はこちら