「島のお母さんたちとの座談会」〈前編〉

2019-04-04

座談会-1

直島での子育てや環境について、直島のお母さんたちの実際の声を今後直島に移住してきたいと考えている人に伝えていきたいという想いから、この座談会を企画しました。島という事もあり、移住するにあたり心配事や不安な事があると思うので、それを少しでも解消できるよう、また、もっと直島の良さを伝えられるよう、直島だからこそ出来る子育てや生活環境、体験談や子供たちにとっての「直島」の魅力などを島のお母さんたちにお話していただきました!座談会の内容は前編と後編にわけてお届けします!

まずは、ご参加いただいた島のお母さんたちをご紹介!
ご紹介する参加者の皆さんに加え、お手伝いしてくれた元直島町地域おこし協力隊の山岸紗恵さん、そして企画をした現・直島町地域おこし協力隊の本橋が参加しています。

〈質問内容〉
1)出身地(都道府県)
2)直島移住歴〇年
3)移住のきっかけ(Uターンきっかけ)
4)直島での子育て環境について一言

ジュンコさん-小学1年生、幼稚園年少の2人のお母さん-
1) 滋賀県出身→結婚して香川高松市へ→高松市から直島に移住
2) 移住歴約10年
3) お店をする為に移住してきました!
4) 私達夫婦にとっては子育てしやすい環境です!

レイさん-幼稚園年中のお母さん-
1)神奈川県
2)もうすぐ9年(2010年4月移住)
3)直島で就職し移住、正社員として勤務。
4)こども園の運営体制や支援事業など行政のサービスはもっと拡充できるところがあると思うが、地域の人々との距離が比較的近く、核家族でも家庭外の人が子供の顔を知っていたり声をかけてくれたりして、子供も親も見守られてる感があるところは、都会では得られないかな、と思っています。

サトミさん-幼児2人のお母さん-
1)東京出身
2)移住歴3年目
3)ある日旦那さんが仕事をやめました。
その直後まだ誰にも言ってないのに “お店を引き継ぐ人を探している話”が舞い込んできてびっくり!! 以前、私が数ヶ月住み込みで働いたというご縁もあり自然がいっぱいのところで子育てしたかったので即決!!
4)徒歩圏内に海や山があり、のびのびと子育てしたい我が家にはうってつけの環境!!乳幼児のための子育て支援券があるのもとっても助かる。

ノリコさん-小学生3人、幼稚園1人、幼稚園未満1人のお母さん-
1)岡山出身
2)移住歴12~3年
3)移住のきっかけは、結婚です。主人が島民ですので必然的に。結婚後も仕事はフェリー通勤で続けましたが通勤時間が長く大変でした。
4)直島での子育て環境について、出産や通院で、島ならではの不便を感じますが子供たちも地域の方々にかわいがっていただき、のびのびと子育てさせていただいていると感じています。子供たちが大きくなり、都会の便利さを知ったうえでも直島で住み、子育てをしたいと感じてもらえるように今は島ならではの楽しいことをたくさん体験させたいです。(体験といっても、直島にいると四季折々のいろんなイベントがあり飽きることがありません。)
直島が、これからの時代を担う若い方々が移住したいと思う地域になるためには、子育て環境や保育の充実、また直島には技術や経験を持つたくさんの多様な方々がいて、それらを結びつけ、さらに子供たちも巻き込むことが出来れば素晴らしいことではないかと思います。

サヤカさん-幼稚園年長1人と幼児1人のお母さん-
1)香川県(直島)
2)Uターン歴3年
3)転勤族の夫が岡山勤務になったタイミングと長男入園のタイミングとが重なったこともあり直島にUターンしました。(直島から市内まで通っていました)
夫が転勤族で2年おきに異動する為、ついてまわる選択はなく、家族の拠点は、高松か直島で悩んでいましたが、当時の私達家族を取り巻く色々な状況等を鑑みた結果、拠点を直島にしました。
4)医療を除いて割と良いと思います。

ナツコさん-幼児2人のお母さん-
旅行で来島のち、美術館に就職。役場のお仕事を経て、遠距離交際だった旦那さんが島内へ転職し結婚。芸術士として、高松市内の保育所や幼稚園へ派遣。子どもの造形活動に関わり、直島と宇野で絵画教室と子どものためのワークショップを主宰する。
1)東京出身
2)移住歴10年
3)1999年頃の青春18切符での旅行が初来島。その後、2009年に美術館財団に転職で移住。
4)「ありゃこの子、あせもがよけあるな。潮(しお)に浸けえ。したら、よーなるわ」という島のおばあちゃんの言葉に、島での子育ての苦労と面白みの全てが表現されている気がします。(笑)

≪移住や島での子育て・暮らし・環境について≫
移住の決めてとして、やはり一番大事なのが生活環境。島で子育てとなると不安な事ももちろんあると思うのですが、移住前に不安に思っていたこと、実際に来て安心したことなど、移住する前と後での違いなどをお聞きしました。

ジュンコさん:移住のきっかけは観光でアートを見て、アートが身近にある暮らしをと思ってました。その時は結婚前で主人と二人で来て、それはずっと頭にあったんですけど、結婚して高松で暮らしながら直島によく来ていて、やっぱり住みたいってなったんです。最初のきっかけは島の雰囲気が好きで来たんで、住んでる中で子供ができたのでわからないんですけど、結果来てよかった。幼少期に育てるのは最高な場所やなという感じです。自分たちのライフスタイルに合っていたことも大きい。

本橋:ストレスもない環境だといいですよね!

ジュンコさん:ある程度ネットワークができてる上で子供を産んだので、子育てもしやすい状態でした。知り合いもいたし、子供ができてからも不安はまったくなかったですね。

本橋:そこまではっきり言いきれるのはすごいですね!

サヤカさん:地元の友達は嫁にいってしまい、数えるくらいしか島にいないので、移住してくる方と同じくらいの不安がありました。ママ友にすごい怯えて直島に帰ってきた。(笑) テレビでよくあるじゃないですか。

本橋:どろどろな感じですか?

サヤカさん:そうですね。(笑) 高松だと子供の検診で友達に会ったり。高松の高校に行っていたので、年の近い同級生の子供がいたので安心だったけど、直島に来るのはすごく不安でした。

本橋:やっぱり知り合いがいた方が気持ち的にも安心ですしね。

レイさん:子育ての理由ではないですけど「どこで働きたい」、「どこで生きたい」が直島の求人とマッチして。来た時は、結婚も子育ても考えてなかったです。比較的外からくる方が多い会社で働いていたので、社内交流はあったけど、直島の地元の方と知り合う機会がほとんどなく、単身の頃は会社と社宅のアパートとの往復で一日が終わってました。だからといって、子供をここで育てていけるかなとか、特に不安はなかったです。基本なんとかなるだろうという考えなので。

本橋:ポジティブですね!

レイさん:子供ができて保育園に早い時期から通っていたので、子供に地域の人との繋がりを作ってもらいました。一人で仕事していたら社内交流しかなかったので、結婚して子供ができて、ようやく直島に住んでるんだなっていう実感は得られましたね。

本橋:子供がいたら話かけられることも多くなりますしね。

レイさん:保育園に行くと必然的に他のお母さんと会う機会も増えるし、そこから人の輪が広がっていきました。子供に縁を作ってもらったという感じですね。
不安に思っていたことは特にない。(笑)

本橋:みなさん本当に楽天的ですね~!(笑)

ジュンコさん:本当に島向き!それくらいどっしりしてないと、細かいこと気にしていたら島に住めない。

レイさん:選択肢も他に比べたら少ないし。

ジュンコさん:自分で楽しみを作れる人じゃないと。島には何にもないし。(笑)
人がいないとダメとかいろんなものがないとダメな人は難しいかな。そういう楽しみを作れる人だったらめちゃくちゃ楽しめる場所ですね。

本橋:確かに自分で作り上げないとやっていけない環境ですよね。

ジュンコさん:自分次第。(笑)

レイさん:どこにいようが自分次第。(笑)

ジュンコさん:住めば都、今この環境でどこまで楽しめるかが大事。

サトミさん:私は東京で育ったから、逆に田舎が好きでした。島特有のコミュニティのせまさとか、移住者と地域住民の格差があるのか不安だったけど、そうでもなくて。住み込みで働いていた時は生活という感じではなかったけど、今はきちんと生活して、近所のおばあちゃんがよく声を掛けてくれるし、しばらく会わなかったら「元気だったかー?」って。
移住者、ご近所さん、地元の方も、さらには観光客まで、みんな関係なく公園で一緒に遊んでくれるから、子供はのびのびと育ってます。
こっちでは大きな声であいさつが普通だけど、都会では無視されてしまうことがあって。その時はすごくしょんぼりしていたけど、こっちでは挨拶したら「おお!元気だねー」って言ってくれる。子供もその反応に喜んで生き生きしているから直島に来て良かったなって思う。

本橋:私は東京で育って、小さい頃は恥ずかしがりやで人と話すことも大変で、自分から「こんにちは!」って言えなかったです。田舎と都会では真逆ですね!

座談会-2

≪医療問題について≫
移住フェアに行った時に相談を受けると必ず聞かれるのが医療問題。特にお子さまのいるご家庭だと医療環境を重視されるので、詳しく聞いていきたいと思います!

本橋:お子さんを5人育てているノリコさんいかがでしょう?

ノリコさん:直島でしか育てたことがなくて他と比べられないからわからないけど、面倒な方だと思います。診療所では乳児は診てもらえないし、耳鼻科、眼科の専門医だと頻繁に行かなきゃいけないので、通院になると大変かな。島を出るついでに買い物したり、ちょっとした旅行気分でプラスに捉えていくしかないですね。

本橋:やっぱりポジティブに考えていくことが大事ですね!(笑)

ジュンコさん:お菓子買ってあげるから!とか言えるし。(笑)
小児科がないと困った事があります。この具合の悪い状態で移動しなきゃいけないっていうのが子供にとってつらいと思います。

サヤカさん:週1でも小児科の先生が島に来てくれたら助かりますよね。

ノリコさん:歩いて行ける範囲にあると助かりますよね。船の車代もかかるし、子供が2人いると上の子が元気なのに連れていかなきゃいかんとか、上の子が病気だったら下の子を抱えていかないかんとか、その間誰かに子供を見ててほしい。

山岸さん:普段お母さん同士で助け合っていても、うつしちゃいけないから助けあえないというのもありますよね。良心では預かりたいけど、自分の子供や、おじいちゃんおばあちゃんがいたり、休めない仕事をしていたりと、助け合いたくても助け合いづらい状況もある。

ナツコさん:高松だと*¹ファミサポとか病児保育ありますよね。保育は子供がインフルだと仕事できないから仕事休むんですよね。学級閉鎖の時期もそうだけど。

レイさん:インフルだと下がってから5日間は登園できないから、仕事休むか旦那さんに頼むか。病児保育がないから他で見てくれるサービスがあれば助かる。専門医が島にいないから、ずっといなくても週1で来てくれたら助かりますね。使用頻度は高くないけど、時間もお金もかかるし。医療費は補助されるけど、交通費も補助してくれると助かる。立て替えが面倒で、もう一度病院行かないといけなかったり、交通費がかかるので、それだけのために行けない。切手代出すので郵送で対応してほしい。(笑) お金の部分もありますよね。

山岸さん:香川県内は医療証書を出すと窓口でお金払わなくても大丈夫なのですが、岡山は県が違うので一度立て替えて町に申請し、後から振り込まれるようになっているということ。書面に病院の押印が必要で、手元に書類がないともう一度病院まで行く必要がありますよね。子供が高松の病院にかかるのは遠くて現実的ではないので、せめてみんなが行く玉野市内の小児科や耳鼻科だけでも香川県と同じように対応してもらえたらとても助かりますね。

サヤカさん:直島特有ですよね。甥っ子が3歳の時は高松市民だったんですけど、香川医大が三木町にあるので用紙をとりにいかなければいけなくて。当時は市町村でわかれていたから前と比べたら良くはなったかな。

座談会-3

前編はここまで!
岡山県と香川県の間に位置する直島は、どちらかというと岡山県の方が近く、移動するには楽なのですが県が違うので医療対応も異なるそうです。大変さもわかりましたが、皆さんがすごくポジティブで、子育てをしながら生活面もしっかり楽しむ事が良い島生活を送る上で大事なんだなと思いました!

後編では、子供の教育環境や学校の施設、今後の子育てについて気を付けたい事、移住を考えている方に向けてのアドバイスなどをお話いただきました!
後編もお見逃しなく!

*¹ファミサポ・・高松市で行っているファミリー・サポート・センター事業。育児など子育ての援助をしてほしい人と援助したい人が会員となる組織。地域で子育て援助活動をすることで、仕事と育児の両立支援と地域の子育て支援を行う事業です。

 

「島のお母さんたちとの座談会」後編はこちら

2019-04-04 |

 

 

 

« 前へ:  :次へ »